風の中の少女（アフガニスタン）

僕にとって２１世紀は、９．１１、それに続くアフガン戦争とイラク戦争と共にはじまった。
まだ大学生のとき自宅に帰ってBBCを観ていたら、目の前で航空機がNYのワールドトレードセンターにぶつかり、崩れていく。今でもはっきりと覚えている。同時に自分が当たり前だと思っていた世界が崩され去った気がした。
それから約２０年。訪れたアフガンはまだ戦争の最中にあった。
想像力の欠如は、思考の欠如を生み、暴力を許す。ハンナ・アーレントがいうことの言葉は戦争にも通底しているように思う。
アフガンにも日常があり、そこに生活があることをリアリティをもって想像できるだろうか。僕には正直できなかった。お互いがお互いの命を奪い、嘆き悲しむ姿しか映像で観たことがなかったからだ。センセーショナルなそれらの映像は、かえって僕の心からアフガンを遠い世界の関係のない出来事に感じさせていた気がする。
だから僕は、アフガンにある”日常”を見て、写して、伝えたかった。
アフガンで、柔らかな微笑みをたたえる少女に出会った。そこには僕たちと変わらない笑顔があることを知った。