その目は何を語るのか（中国）

チベットの入り口、中国の青海省・西寧。ここからチベット自治区首府ラサへと鉄道が続く。
湖のほとりにある砂漠で、少年たちが楽しそうに遊んでいた。
どうやらチベット僧のようだ。
日本にいたら小学生だろうか。そのチベット僧は、仏門に入り、一生を僧侶として生きていくのだろう。
遊んでいた最中にふと見せた表情。その目は何を見ているのだろう。
フィリップ・アリエスの『〈子供〉の誕生』をふと思い出す。
子供という概念が生まれたのは近代以降だ。それまでは７～８歳になれば、大人と同等に扱われていた。
子供という時代を無くして生きるチベット僧の少年の幸せを思った。私の尺度では図れない。
でもその表情をいつまでも胸に刻んでおこうと思った。